マイクロ波発振回路
 
発振素子  マイクロ波発振半導体増幅素子としては、 GaAs電界効果型トランジスタや やSiバイポーラトランジスタ が考えられます。ただし、発振素子としては、位相雑音の少ない バイポーラトランジスタが優れています。
  ここでは、そのバイポーラトランジスタを使った発振回路について述べておきます。
  T型等価回路
  発振素子として、Siバイポーラトランジスタを使うとして、どのような発振回路にするかということになります。
  マイクロ波帯での利用を考えると、素子の電極間容量の存在が考えられますので、そのような回路としては、 コルピッツ型発振回路が考えられます。
  このときのバイポーラトランジスタの等価回路としては、右図のような T型等価回路 を考えることが出来ます。  .
 
発振回路
 上記のように、コルピッツ型回路で発振回路を考えると、外部回路として誘導リアクタンスを与えるコイルを 追加すればよいことが分かります。

  まず、このトランジスタに抵抗 RL を含めた負荷を考えた、右図のような発振回路を考えることが出来ます。
  この回路でトランジスタ側の複素インピーダンス ZNR計算すると、次のようになります。
コルピッツ型発振検討回路
Znr
 現象を解り易くするため、α≒1 を考慮すると、
Znr2
  となります。一方負荷側のインピーダンス ZL は、
ZL
となります。従って、この回路の発振条件は、
発振条件
  となります。
 つまり、前の式は負荷RLが一定値以下であること、 後ろの式はリアクタンス分が中和していること、が必要であることを示しています。 得意?の反射係数でいえば、-Znr 側の反射係数 Γnr と負荷側を見た反射係数 Γr との積 Γnr・Γr が1より大きければ、回路間の反射波が次第に大きくなる条件となりますので、 それが「発振の条件」ということにもなります。

  なお、実際のパラメータは、寄生インダクタンスなどより細かなパラメータも考慮する必要がありますが、 負性抵抗として見ることでコルピッツ発振回路を検討できることが分かり、興味深い結果といえます。  マイクロ波機器